
2001年8月現在、全てが消化不良です。春にサイトを開設する前から、インターネットの世界にもモデラーがたくさん生息していることが分かり、不思議なことに実生活ではなかなか見かけるることの出来ないような波長の合う方々と出会えたりするので、すっかりネットサーフィンやら、掲示板への書き込み、メールのやりとりにはまっていました。仕事や家庭、友人関係とは全く別個の、趣味という世界での精神交流(ちょっとおおげさ、いやヴァン・ダー・グラーフ・ジェネレーターというプログレッシッブ・ロック界影の帝王といわれたバンドのアルバム邦題にあるもんで、つい浮かんでしまったんです)をするというのは、いささか社交性が欠如している私には、一種の安定剤の役割を果たしたのは事実です。
さらに自分のサイトを開設してみると、これが実に楽しい。何故かというと、パソコン素人にとってコンピュータの知識・技術面でのハードルは高いが、少しでも分かれば、グラフィック的な創作が大変簡単なんです。いちおうインダストリアル・デザインの学校を出たにもかかわらず、フリーのクリエーターとしてスタンド・アローンする勇気の無かった私は、デイレクションする側にさっさと廻ってしまい、手技の修練を一切放棄してきてしまったのです。いわくデッサンであり、機械製図であり、レンダリングであり、そもそも、その前に「0からものを考える」ということです。溝引きでまっすぐな線を引くためには練習あるのみですし、活きたフリーハンドの線が描けるようになるのは、ひたすら描き続けるしかない。ところがコンピュータという道具は知識さえあれば、手技の修練がほとんといらないんです。直線はあくまでまっすぐであり、円はあくまで丸い。そのうえ、球形だのフラクタル図形だの(あ、これはできないな...笑)手ではできないことも、頭で考えさえすれば形になってしまうのです。実に簡単。
さらにウェブサイトは理論的には全世界に開いており、プラモなどというマイナーな趣味のサイトであれ、観客はいるのですよ。つまり、ぱかぱかっと適当に浮かんだアイデア以前のシナプスのショートしただけのような破片をすぐに形にし、安直にひとに見せてしまえるのです。芸術家の人々は、自らの作品を世に出すためには、厳しい修練の後、個展やら組織やら家元やらなんやらに働きかけ、さらに偶然のチャンスを手にする必要があったのに、なんです。ウェブとはなんとイージーでなんとオープンなツールでしょうか。もちろん、これは私個人における受け取り方であり、学究的に真摯にものごとを追求される方々や、いっぽうビジネスのシステムを構築し営利を生み出そうと悪戦苦闘なさっている方々からは、こんな安直な考え方は許されないものでしょうが、しかし少なくとも現在の私にとっては、愚にも付かない独り言を、恐ろしく簡単に、人様へ発信できてしまう、魔法の箱なんです。
さて、自制心とか克己心などというものに無縁の私が、こんな蜜の味に溺れない訳がありません。テイスト・オブ・ハニーです。熊のプーさんの蜂蜜壺です。口絵ギャラリーやら、ノーズアートなんてのが一番楽しいんですよ。考証やら資料をひもといたりなんて不要、正確さも責任も(多分)問われないお気楽さ。似顔絵なんて初めて描いてみんですよ。今まではデッサンの基礎がなっていず、またスケッチも下手なため、試みることはあっても結果として残せなかったのに、マウスとキーボードでなら、なんとなく下手は下手なりに形にできてしまう。これが筆やペンなら残酷なもので、下手なものは下手でしかないんですけどね。いきおいの無い線は、いつまで経っても死んだ線でしかないんです。
しかし、こういうお遊びをやっていると、それはそれで時間を食います。自宅にスタンドアローンでないパソコンが入ったのは、サイト開設の約1年前、この間に大体のフレームといくつかのコンテンツメニューアイデアは溜めてありました。もちろん飛行機プラモのサイトですから、プラモの完成品や資料など定番は押さえた上で、スパイスになるものも用意していきました。つまり構想1年、製作1ヶ月です。そうして製作を始めて見て分かったことは、ちゃんと真面目にプラモ、飛行機のことを描いたり、書いたりするのは大変時間がかかる、ということでした。さらにマグネットとしてのBBSも、管理という意識は全く欠如してはいても、レスポンスは必要であり、メインテインだけでもそこそこ時間がかかるのです。ために当初構想の目玉であった、別サイト企画やら、まじめな資料集要素はほとんど手が付けれられていません。いかに睡眠時間を削減してもまだ時間が足りない状況です。
努力とか根性とかはもちろん、真剣に勉強する、何かを収得するということに無縁で、ただただ怠惰一方の私が、人生で初めて時間が足りないと思うほどのめりこんだ行為が実にウェブサイトの製作であり、同時にまた初めて陥った陥穽でもありました。いやほんと、これではヤクと同じです(もちろんこれはものの例えであり、現実には私の中毒はニコチンだけです)。溺れてしまったら出ることのできない落とし穴、出ようという気にはなれない蜜の壺なんでした。まあこれがまた1年でも経てばずいぶんと落ち着いてくるのかもしれませんが、今のところこんな案配なので、やることなすことみな中途半端で消化不良であります。別に解決策がある訳じゃありませんが、もう少し時間が経てば落ち着くのではなかろうか、と安易に考えてはおりますが、、、、。以上、本当に独り言でした。お耳汚しですみませんね。