「読後焼却-最近読んだ本

  こずかいが少ないので(あるいはプラモに使ってしまうからか?)、そうしょっちゅうは、ハードカバーの本が買えないのです。かといって文庫本もミステリやら時代物などエンターテイメントばっかりで、まともな(おお、古風ですらある表現!)純文学なぞ余り文庫化されないこの頃ですね。そんなこんなで2002年になってから読んだ本。

「水玉の幻想」沼田元気、青山出版社) 「生物学個人授業」(岡田節人・南伸坊、新潮文庫)

ああ、今時「シュールレアリスム!」。滝口修三センセーこんにちはって感じ。沼田元気さんとは今から15年以上前、氏が「東海道五十三次 盆栽ツアー」を終了した際、展示イベントをやって以来です。生きてらっしゃったんですね。感無量です。とっても美男子だったのに(今で言えばミッチーみたいなものか?)、青剃りかつらで人間盆栽になってしまうようなお方は、絶対長生きしないもと思っていました(ゴメンナサイ!)。今や「沼おじさん」になってご活躍らしいです。 個人授業シリーズの中で最も面白いかも(養老センセとの授業は「解剖学個人授業」)? なぜなら、岡田先生曰く、「生命は絶えたこと無!これを知らんアホがおるんや。」「個体の死はあっても生殖細胞は死なないからだ」 これが理解できれば、生体移植、クローン、ホスピスなどをちゃんと理解できます。そいや、少し前にシンボーさんの「対岸の家事」も読みました。
「仙人の壺」(南伸坊、新潮文庫)
「ロック・ミーツ・アート」(有現会社ストレンジ・デイズ)

洒脱なイラストライター伸坊さんの得意技のひとつ、中国漫画。単行本「チャイナ・ファンタジー」ももちろん持っていますが、編纂が少し異なります。  ヒプノシス、ロジャー・ディーン、キーフという三大プログレッシブ・ロック・アルバム・ジャヶット・デザイナー特集。 考えてみれば、私の芸術観って、ファイン・アートよりこっちの世界の影響の方が大きいのですね(^_^)
「身体の文学史」養老孟司著、新潮文庫) 「孤高の鷲」(チャールズ。リンドバーグ著、新潮文庫)

正直に言って、養老先生の著作の中でも一番難しい、または分かりにくい、ないしは歯切れが悪い本です。相手が文学などという、いい加減なものだからか? 明治時代の鴎外、漱石はまだ理解しやすいが、芥川、深沢七郎あたりはかなり晦渋です。渾身の三島論は、戦後文学に顕れた「生首」という表現から切り込む孤高の掌編、筒井康隆の「ダンヌツィオに夢中」と並んで優れた三島論と思う(というか、文芸評論家はみな馬鹿だと思っているので、彼らの三島論を読んだことが無い)。いづれにせよ「脳化社会」などの概念は先に知っておいたほうが無難です。 サン・テックスとは対照的に、実務家で頭の切れるリンディの戦中日記。まだ途中ですが、第二次大戦は欧州壊滅と信じ、大方のアメリカ人(ルーズベルトも)と違い、参戦には慎重だったようです。こどもを誘拐された事件以降マスコミへの対処は21世紀の現代と同じです。
「コンセント」(田口ランディ著、幻冬舎文庫) 「ザ・マスク・クラブ」(村上龍、メディア・ファクトリー)

なんともうまい物書きです! 広告代理店出身の小説家っていえば、伊集院静、藤原伊織、(鬱病で大変だったらしい)原田宗典、大岡信の息子の怜もそうかな(同年代です、どっちも詩人の息子なのに、、、、トホホ)など、ごろごろ居る上に、代理店のオンナのシトって、一種のパターンがあるような偏見持ってたので(特にマーケッターね!)、期待していなかったのですが、良い意味で見事に裏切られたです。ご本人も実際にコンセント系?なのでしょうが、とにかく話巧者です。現代のシャーマンとは?と考える本。後半散逸しちゃう、というか夢おちみたいなのが惜しい。 最近の経済物、あるいは時代とコミットした作品ではなく、少し前のSM系の路線の作品。文庫で十分だった(;_;) 
「老人力」(赤瀬川 原平、ちくま文庫) 「碁娘伝(ごじょうでん」諸星大二郎、潮出版社)
いまさらですが、文庫になって初めて読みました。弟子の南 伸坊さんの著作はほぼ全て読破しているんですが、師匠の赤瀬川さんは少し貧乏くささが匂って、ちょっと好きじゃないところもあります。トマソン、路上観察学会はね、南さんと藤森照信さんという明るいお方が加わっているのでいいんです。そうそ、前に南さんと赤瀬川さんのトークショーを聞いたことがありますが、南さん結構我が儘で、スポンサー(何と損保会社だったんですね)は切れたそうです(^.^) あ、老人力の内容に触れてませんね、でもご存知でしょう。そうそ新解さんの謎も読んでいないです。  唐は玄宗皇帝の御代、「西遊妖猿伝」でお馴染み、中国を舞台にした諸星ワールドがひろがります。碁を打って名人、剣を振るって達人の美女、碁娘の正体はいかに? 対に語られることも多い星野之宣の絵のうまさと対照的な、諸星大二郎のあの独特のへろへろ線も、キャリアとともに味わいが深くなり、女性もそこはかとない色気が出てきました。しかし、稗田シリーズとか、紙魚子シリーズなど(星野さんだと、コドク・エクスペリメント、ブルー・ワールド)時々思いだしたように新刊がでると、読んだかどうか分からなくなってしまいます。本屋も模型屋もセロハンを外すべきだ!
「漂流街」(馳 星周、徳間文庫) 「私立中高一貫校しかない」(井上 修、宝島社新書)
 エンターテイメントがどーのこーのといいながら、ノワール小説の馳 星周と大沢「新宿鮫」は読んでいます。お馴染み新宿暗黒街の話ですが、前作「不夜城」よりもうまさが増して、やるせなさも増大。  日能研の人が書いた本。PRなんだが、幼稚園から大学まで全て公立で通した私には、画期的でした。
「日本の軍事テクノロジー」(碇義朗他、光人社) ●レコード・コレクターズ 2002-3
 碇義朗さんの「震電」以外は関係者の証言集。すべて雑誌「丸」の別冊に載ったものの転載。飛行機以外の話が多きのでそれなりに興味深いが、紙数の関係かつっこみが足りないので、やや物足りない感が残る。戦艦「大和」主砲の問題点、「酸素魚雷」、「SB艇」あたりが面白かったが、反面航空機に関係に深いレーダー開発うあ「奮進弾」などは浅すぎ。期待したほどの内容ではない。まあ、普段「丸」を買うことなど決してないのでありがたいことではありますが、同時期の発売された「軍用機開発物語」で零観の佐野技師の繰り言を読んだほうが愉しかったかもしれない。
カンタベリー・ロック特集。実に英国的過ぎるほど英国的な音楽なのに、何故か深入りしなかった。801,クワイエット・サン、ラトリッジのソフト・マシーンは好きだったけど、ゴング、スティーブ・ヒレッジやカーンが肌にあわず、ハットフィールドやキャラバンを聞かずじまいになってしまったのでしょう。