「帝国海軍原爆強奪計画」

小林たけし 著
実業の日本社 刊
定価848円+税

一部では中央線沿線で「筆塗りプラモ達人」で有名な小林さんが、漫画でなく小説を上梓なさいました。

うちのサイトをROMした人は必ず1冊お買い求めくださいね(~o~)


※写真:mannbuuさん提供


私はもちろん2004年1/31に買いました。2/7読了。
 海戦と諜報戦のお話。まずなんといっても博識な小林さんの作なので、あまたの架空戦記作家さんと違い、戦史・兵器の考証に全面的な安心感があることです。私はUボートや帝国海軍のことはさっぱりわやですが、架空戦記でも戦争映画でも、われらマニアがどうしても陥ってしまう「杜撰な考証を我慢して、ノベル(ムービー)として純粋に楽しめるか?」という永遠のジレンマと、全く無縁な本なことであることが、溜飲が下がる思いにさせてくれました。それが嫌さで、私は架空戦記の類はほとんど読んでこなかったんです。
 モーニングのジパングなんか、粗さと良くあるタイムスリップものというスキームを画力で押し切っているんですが、漫画さんの作品は、抑えた筆致でたんたんと描いており、真摯さが違うなというのも読後の印象。
 面白さの一つは海戦シーンの迫力でしょう。駆逐艦乗り(水雷屋)の矜持、重巡の戦い方など、トリヴィアルな技術史観以前の「根っこ」を知っている人の筆致がたまりません。
 二つ目は諜報戦の妙味。暗号が解読されていたせいで、ソ連は満州の戦力を対ドイツ戦に安心して振り向けられ、そのためドイツの敗戦が早まったという史実などがさりげなく挿入され、小説のリアリティがいや増してきます。
 巻末に(第1巻終わり)とありましたので、続編が期待できるのでしょうか。その折りにはサービス濡れ場シーンなど、もうちょい長めにしつこく描いて欲しかったりして(^o^)