「ツールの恩返し-2」

 <リベット打ちツール>
北風舎リベット打ちツールを使ってみました。ツール-1で述べたことの繰り返しですが、72,48,32用の刃がそれぞれ有り、そのままリベット穴になる、しかもペーパー掛けは不要、となっています。ツールについては全て兵庫は西宮の模型屋さん、ガネットに全部卸したようにも聞きました。また北風舎さんはサイトを現在休止されています。これから欲しい、という方は2002年7月現在の模型誌をご参照くださるか、北風舎さんに直接お聞き下さい。

<リベット打ちの手順>
(1) 通常の針状の器具で行う場合です。プラ面に穴を穿ち、ペーパーでまくれを取り、その後の塗膜で埋もれない程度の深さを保持しておいて、塗装します。墨入れは塗膜やデカールの上からです。
(2) 北風舎氏は、くだんのツールの使用法ではこちらを薦めています、すなわち、基礎工作が終わり、サフを吹いた上に、このツールを転がし、まくれは気にせず、ペーパーをかけずに、塗装していく手順です。
(3) サフ、塗装、デカール、クリアまで終わって、最後に、クリアコーティング面に、このギアを転がし、墨入れするものです。

<結果報告>
今回私は(3)の方法を実施しました。(2)では、まくれをペーパーでさらわない限り、塗膜がざらついたり、その結果デカールのシルバリングが必ず発生するのでは無いか、と危惧しているためです。そこで、サフ、本塗装、デカール、クリア(薄掛けで3回程度)を吹いた後、コロコロやってみた状態です。どうです、結構はっきりと穴が見えますでしょう。私のデジカメは接写の性能がてんでダメなので、余りはっきりしないかもしれませんが、結構いい具合です。

さらに下の写真は、エナメル系の黒褐色で墨入れ、ウォッシングした後です。フラッシュ炊いてるので、ずいぶん飛んでしまっていますが、デカールの上もちゃんとリベットが見えます。

 という訳で、秘技「後からリベット」は、このツールを用いれば十分可能です。写真は1/48単発大戦機ですが、主翼上下、胴体の一部に施すのに要した時間は約2時間でした。フォッケの場合の1ヶ月とは雲泥の差ですね。ただし、リベットの位置、数量は極めていい加減であることは考慮に入れて下さい。また、針状の器具でしっかり打ったもの比べると、見えるか見えないか程度です。肉眼でも30センチ離れたら、分かりません。しかし手でひとつひとつ打ったのでは無いですから、繊細な精密感は有ります。黒々とした穴(そう、かつてのニチモの屠龍や99軍偵のような)よりは、本物に近いとも言えますね。私は、「鶴は十分、恩返しした」と思っています。なお、現物は、秋まで展示予定はありません。

 ところで、国内の図面でリベットないしリブやロンジロン等桁材の位置を書き込んだものは、「精密図面を読む」や渡辺利久氏の古いものくらいしか、思い当たりません。ドイツ機ですと、野原氏の図面にリベットが描いてありますが、たいてい古い時期のものです。本気になって調べるとなると、復元機や往事のアップ写真を集めて、かなり長い間眺めていないと、枕頭鋲なんて見えるもんじゃ無いですよね。やったことは無いけど、日本機なんか大変でしょうね。リベット派の皆様はどうしてらっしゃいますでしょうか?

 しかし(3)の方法の最大の欠点は「逆アール部など、ギアが入らない部分はリベットが打てない」ことです。つまり翼と胴の接合面や、水平・垂直尾翼の接点、ラジエータやバルジなど突起物周辺です。次の欠点は、すでに完成した塗装面に傷を付けていく訳ですから、失敗が許されないことです。もし曲がってしまっても修正が聞きません。さらに、仕上げ後の状態で取り回すことになるので、損傷の可能性も高まります、私は今回、下面に施術している最中、不注意にも力を入れすぎて、接着済みのキャノピー部品にクラックを入れていまいました(-_-;)

 従って結論からいいますと、(3)の秘技「後からリベット」は、正確性を旨とするモデリング・スタンスではなく、部分的に模型としての精密感を演出する技法の一種、と割り切って実施するならば、十分使えるという事です。実は99年製作のドーラも自作工具にて、この方法で部分リベットを施していますが、自作工具(ギアの歯はドレメル)では再現性が低く、ウェブ上の画像では見えません。

 開発者の薦める(2)の方法は、サフは普通、士の字になった後に吹くので、そのままでは(3)と同じ、逆R部の問題が起きてしまいます。といって(1)の手順ですと穴が小さすぎ、何層もの塗膜、デカールに覆われたら、もう見えないと思います。さてどういう解決策があるかというと、スケビVol.26に北風舎氏が書いておられるように、針状の器具とうまく使い分けするしか無いようです。しかし、穿たれた穴の大きさ、間隔を違う器具でも、近似させるには結構修練が必要でしょう。まあ、何につけ、魔法の道具は無い、ってことです(^_^)