<はじめに>
1998年製作の旧作です。はじめてコンテスト出品用(ハセガワ主催のJMCコンテスト)に製作したプラモデルでもあります。地元のサークルに入って2年目、それまで素組みで塗装も吹きっぱなし、デティール・アップ・パーツなど使ったことも無く、基礎工作技術ではかなり見劣りすることを自覚していた私は、コンテスト用と言うことで、ケレン味で勝負することにし、当時出ていたレジン・パーツ、エッチング・パーツを使えるだけ使いまくりました。とはいえ、初めて扱うレジンやエッチング素材、もともと工作の基礎ができていないので、それらを上手に収める技術が追いつかず、全体の仕上がりはバランスに欠け、汚い上がりになってしまいました。という訳で、この110、まだ背伸びした姿勢が見え見え、いささか痛々しい感すら有ります。でも、作り卸し初出品(旧作ではこの前年にも出品して落選)で、JMCコンテストの特別賞受賞だったので嬉しかったです(未だに毎年努力賞〜特別賞を行き来しているので、工作技術面での上達は無いってことでも有り、、、笑)。
うまい方の作品を見ると、個々の手法に馴染んだ後、それを80%位の濃度で展開したぐらいが一番まとまりがあり、バランス感覚に溢れた作品になっているように思います。またバランスの良い仕上げになるまで、何に気を配り、どこを押さえていくかといった感覚は、展示会やコンテストなどで、多くの人に見られて、批評や助言を貰うことを重ねてこそ、身に付いていくものなのだと思います。自分の家から完成品を一歩も外に出したこと無いモデラーは、その点で熟成して行きませんですね。良く女優さんが「化ける」と言いますが、プラモでも似たようなことが言えるのではないでしょうか。
さてさて、今見れば、5年も前のぎくしゃくした上がりの完成品でしかありませんが、お気楽ヌルヌルモデラーだった私が、すこしはメーカーのお仕着せ100%から脱し、「自分の模型」に踏み出した一種の記念碑として、忘れられないキットではあります。またこの後知り合ったどんじさんが、台風の最中に上京し拙宅に来ていただいた居り、上で書いたようなまとまりの無さなどいたらぬ部分は(恐らく十二分に)分かった上で、熱意だけは買ってくれたことが嬉しかったですね。たかが模型相手なんだけど、単なる技術論だけじゃない、ハートの部分を語る言葉って、この時初めて聞いたんですもの。地元サークルではそういう形而上的話題とか、本物への好奇心といった方向が極めて低くいつも不完全燃焼な気持ちをいだいておりました。
こんな旧作ですが、一つはサイトが10万ヒットしたのを記念してなんかネタを出したかったことと、もう一つは、最近知己を得た方、ネットでしかお付き合いの無い方にも、私が腕も知識も半端な「出遅れモデラー」であることをご理解してほしいな、との思いでアップしてみました。
ところで、この頃は宅急便で完成品を配送する場合の梱包方法もまだ自家薬籠中のものしていなかったため、(株)ハセガワさんに送った時点で、機首のリヒテンシュタイン・アンテナが折れてしまいました。展示用に応急修理をしたまま、本格的補修をしていないので、今にいたるまで、まともな写真は撮影していません。地元の模型店のウィンドーにあった時代のスナップだけですがお許し下さい。
<考証>
実は全くやっていません。オーストラリアのPDデカールがそこそこ考証を重ねた上でデカールを発売していたので、そこで選ばれていたレントの機体にしました。もともとPDデカールの解説でも、アンテナは写真の外なので昼間戦闘機型の可能性もあるし、レターAFも違っている可能性も高い、というはなはだ確証に乏しい塗りです。しかし、上面74/75の昼間戦闘機と同じ迷彩でレーダー装備なのは耳目を惹きやすいであろうという、いささか嫌らしい計算と(;_;)、誰もが作るであろうドレヴェスやヨーネンの機体以外のエースにしたかったのであります。<工作>
コンテスト用ということで、1997〜8年当時、自分が持てる以上の技術レベルでの付加工作を施しました。キット自体はプロモデラーの傑作といえるでしょう。全スケールを通じて110の最高作です(つーか、72は屁垂ればっか)。110は109のような系統だった研究がなされておらず、まともなG型の図面も国内にはなく、このキットを見て初めて分かることばかりでした。後に出たMe410もそうでしたね。
いささかコロンブスの卵的なエンジンナセルのはめ方(プラの弾性を利用してパチンとはめ込む)にはびっくりしましたが、やってみれば何のことは有りません。結構簡単です。ただ主翼下面が左右別で、かつ接着のベロが少ないのは困りもの。2ミリプラ板を桁にしています。透明部品の肉厚がプロモデラーの技術上の最大の欠点ですが、幸いBf110は割に矩形に近い形状なので、肉厚の凄さやレンズ現象はさほど目立ちません。一番泣いたのは、細い後部胴体のゆがみでした。もともと3Dの形態認識能力に劣る私は、水平尾翼を仮組するまで全く気が付きませんでした(;_;) 水平尾翼を接着しようとしたら、「あれ?主翼と平行じゃない(泣)」。もうサフェーサーも吹いて、さあ塗装、というタイミングだったので、風呂に入りながら熱湯3分で、すこしづつゆがみを直していきました。
表面のデティールは、いささかオーバーな羽布の表現など、このキットが、凸をうまくあしらうようになってきた走りですね。タイヤに施された「Continental」の彫刻など、涙モノです。
●エンジン:DB605はバーリンデンのBf110G-4アップデートセット。まだアイリス、CMKは市場に姿を現す前ですね。カバーの開き方は実はG型は不明です。E型まではBf109Eと同様、ネジ止めで、がばっとカバーをはずしちゃう方式ですが、後に国江隆夫氏が航フ連載のMe410記事中で明らかにしましたが、それから想像すると、F、G型はヒンジが付いて左右どちらかに回転して開く方式の可能性が高いです。よって私のは間違いの可能性大。ただ当時は悩みこそすれ、資料が無く分かりませんでした。戦後のスクラップならカバーの開いた写真があったんですけど、現役時代は109のようにカバーオープンの写真が見つけられなかったのです。
●エンジンカバー:そこのおにいさん、聞いとくれやす。Bf110って、エンジンナセル内部にメータがあり、コクピットからそれを見るんです。そのためエンジンカバーの一部が、三角オニギリの形の透明ガラスになっています。今ならもうやらないでしょうが、それを再現すべく、片方はキットのプラ材へ、もう片方はレジンパーツに穴を穿って、旅客機のように透明窓をはめ込んでいます。スーパーの台所用品売場で透明アクリルのマドラーを買い、それを三角断面に削った後、短冊切りしてはめ込み工作。なお、レジンパーツのほうは、表裏、どちらからも見えるので、苦労は倍です。左右にあるから4倍かな?でもこの工作の効果は、、、と考えると、恐らく見た人のうち、10人中9.5人までは気が付かないでしょうから、やはりコスト(=エフォート)・パフォーマンスは、とっても悪いと言わざるを得ません(;_;)
●フラップ、エレベーター、ラダー:バーリンデンNo.1254:Bf110G-4アップデートの舵面セットと思います。フラップダウンはかっこいいですが、主翼の強度が減退、ナセルとの勘合も課題となり難工事でした。エレベーター、ラダーは番線で繋いでいます。
●エッチング:エデュアルドのセット。コクピットのレバーや計器板、脚収納庫内の軽め穴付き隔壁など。
●キャノピー:ファースト・フレーム(フィルム素材に塗装してプラパーツに貼るもの。これは欠陥商品でした。複雑なRにはフィルムは対応せず、結局そこかしこが浮いてしまいました。
●全面リベット打ち:まだリベットを打ったのが2回目くらいです。器具にも定番が無かったので、下面など左右で穴の大きさが違って居ます。
●排気管:消炎排気管の大型ダンパーの前後は、モーブキットの同心円上状のエッチングパーツを装着。
●アンテナ:リヒテンシュタインSN-2でも初期のヒルシュゲバイ(鹿の角の意)・タイプのアンテナ柱なので、安直にモーブから移設しました。八木アンテナ自体もモーブのキットにセットされていた、真鍮パイプ3段逆スライド方式(ゴメン、このギャグは35歳以上の関東圏の人間だけに通じると思います)です。ちなみにここでカミング・アウトしちゃいますと、わたしこの記事を書くまで、約20年間、ヒルゲシュバイと思いこんでいました。渡辺洋二著「夜間戦闘機」の光人社文庫版を2002年に再読して気が付いた次第(-_-;) ドイツ語って原語表記されると読めないし、カタカナだと間違えて読んでしまい易いですよね。って、俺だけ?
●コクピット下防弾鋼板:塩ビを貼って、プラ棒の頭を熱した凸リベットをアクセントに(=いささかオーバーに)あしらっています。
●デカール:オーストラリアのPDデカール、48-007 Bf110G Pt.2です。オレンジ色のヘッダーの奴です。シュナウファーのラダー(撃墜マーク入り)のサービスサイズ生写真も入っていて(006の方)、先に書いたように、マニアライクな考証がされ(あっているかどうかは別として)、楽しいデカール。またこの頃ではエアロマスターの「ノクターナル・バード・オブ・プレイ」(※STの船ぢゃないよ)シリーズ発売前だったので、キットお仕着せ以外に、手軽にモーブのドレヴェスやヨーネン以外の塗りにするには、他に選択肢は無かったのですが、、、、、。このPDデカール、フィルムの材質が最悪でした、お湯につけたら、あっと言う間に3ミリ平方の小片に分離してしまい、Fのレター(黒縁付き緑、しかも緑ベタと黒縁は別物!)など再現するのには、涙無しにはできませんでした(;_;) ただし、MSAPのように色が変色して黄ばむことは無く、「エングラント・ブリッツ」(夜戦部隊の共通エンブレム)も、地色有り無しが両方セットされていて、とってもお得だったんですがねえ(;_;)、もはや入手は不可能でしょうし、これから110夜戦を作る方は、エアロマスター再販ノクターンか、カッティングエッジの046(レント<<AF有り)か、045(ドレヴェス、シュナウファー、ヤープス他)、タリホーをお使いになって下さい。
ヘルムート・レントはこの時点で73機撃墜(うち夜間65機)の夜戦エース。写真には写っていないが、ラダーにはリボンをあしらったキルマークが描かれています。また既に剣付き柏葉鉄十字章を受賞しており、NJG3に異動の任命を受けた前後の機体とされています。
メッサー110のキットは、この決定版プロモデラーが出る以前に、神戸のモーブから、フジミベースの改造キットが出ています。フジミのキットはもう30年選手になろうというベテランで、しかも発売当初から、胴体が細すぎだの、モールドにメリハリが無い、とその貧弱さを嫌われてきたキットですが、モーブの熱意はすざまじく(もちろんその陰には、70年代ルフトヴァッフェモデラーの憧れの星、為則通洋氏がいた訳ですが、、、笑)、お値段も7800円と超高価!いつかはこいつも成仏させたいとは思いつつ、10年以上の歳月が流れてしまいましたね。トップのシュナウファーも、感動的な手記を残したヨーネンも、東部戦線のシャークマウス夜戦も作りたい気持ちだけは十分有るのですが(^_^;)
またこの製作スタンスの第二弾が、同じプロモデラーのMe410なんですが、こちらは国江隆夫氏の航フ連載による新事実や各種資料が有り、また爆弾収納庫などの自作などと、目標が高くなり過ぎ、未だに未完のままであります。こういう臓物系フル・デティール・アップ&金持ちビルト戦法にいささか疲れてきてしまった、今日この頃のがらんどうでありますね(^_^)。やっぱり性格的に(根性とか根気とか縁がないので)向いていないんでしょうかね。素組みでばああっと吹いてデカール貼って、という方が性にあっているようです。