受験体験記

 

 

2006年度ソムリエに合格した井上澄江さん(レストラン楽巣)の受験体験記です。

 

私が受験したのは、「ソムリエ」呼称です。

私は、フレンチレストランで、女性のシェフ、旦那様のオーナーがサービスに当たり、私もワインを選ぶお手伝いをしたり

ワインリストの作成をしたり・・・というシェフでソムリエ。という仕事をしております。

 ソムリエの仕事を、【日本ソムリエ協会認定ソムリエ】としてお客様に価値を感じて頂けるものにしたい。

という気持ちは、2003年版のとあるワインスクールのテキストを書店で購入した頃からありました。

 このテキストは、実務に大変役に立ってくれましたが、さて、「ソムリエ受験」というレベルで勉強しようとすると

世界各国の言語。ワインの原語名をどう読むのか?というような事から難しくて・・・

 おそらく数年かけて、ゆっくり暗記して行けたら、その後の試験直前の勉強はもっと楽だったに違い無い。

とは思うのですが、それがなかなか出来ないのが勉強というものですよね(笑)

 2005年の10月くらいにソムリエ受験を決意して、まず受験資格があるかどうかをソムリエ協会に確認しました。

OKとのお返事を頂きましたので、早速ソムリエ協会に加入手続きをしまして、産能大学の通信講座を申し込みました。

 しかし、この時期からどんどん忙しくなるのがレストランです・・・。

 また、届いたテキストは、どこからどう読んで良いのか分からないくらい難解で、膨大な情報量です。

 通信講座の問題は難しく、そのテキストをかなり読み込まないと問題を解くことが出来ません。

 毎晩、疲れて帰って来ては「勉強しなきゃ・・・」というプレッシャーにのみさいなまれて、進まない日々が続きました。

 そうこうしているうちに年も明け、なんとかしなきゃ!と思っていた所に出会ったのが、

この、「ソムリエ試験対策講座」のメルマガでした。

 あぁ!一筋の光が!!と思いました。

視聴してみた、歌記憶術もなかなか頭に入ってこないワイン用語をスムーズに記憶させてくれる・・・。

 早速申し込み、これなら順調かな〜と思った矢先。

 最初の難関。ボルドーの配信。

 うぎゃぁ〜〜〜、61シャトーがどうしても頭に入らない〜〜〜。

 色々と手は尽くしました。

 いつも、手帳に書いたシャトー名を持ち歩き、お店のキッチンの壁に張り付け、何度も繰り返し暗記を試みました。

 しかし!私にはひとつ大きなハンディがありました。

 歌記憶術を使う事が難しい状況でした。

 夜中の勉強は、連れ合いが別室で寝ていて歌を歌っていると必ず次の日

「昨日歌っていたね」と言われます。それは、「頑張っているね」という意味だったのですが

自分が、気になって声を上げて歌う事が出来ません。

 ヘッドホンをつけて、歌を聴きながら勉強してみたり、昼間に少しでも時間が取れると歌ってみたり・・・。

歌記憶術は、活用出来ればとても有効な記憶方法だと思います。

もっと活用出来るやり方を工夫できれば苦労は少なく出来たでしょうに・・。

 一度、くじけそうになって、自分にお休みをあげる事にしました。

 そうこうしているうちに、ブルゴーニュが配信されてもボルドーが終わっていないのでとりかかれません。

 しかし、今思えば、一気に記憶しようとせずに、少しずつ、最初は

聞いたことがあるというレベルから、知ってる憶えてるというようにグレーを白から黒に近づけてゆくように何度も繰り返して

長期戦で憶えれば良かったのだと思います。

 ロワールが配信された頃、

とにかく、メルマガの第一部の要点をまとめてあるところだけでも書き写してみよう。

と夜中の勉強を再開しました。

 ルーズリーフとバインダーを買い込み、要点を書き写し、該当するソムリエ協会の教本をチェックし、

特に憶えるべき点は、マークする。という繰り返しを

「眠くて頭に入ってこないときは寝る。」というルールを作って

とにかく、やりました。

ボールペンの替え芯を何本も買ったのなんて凄く久しぶりです。

 メルマガの要点は、的確に十分にまとめられていて、大変に良かったと思います。

 ところで、記憶は、眠っている間に頭の中に定着するものだそうです。

なので、一番効率が良いのは、勉強しては眠るの繰り返し。

 これを実行してみました、自律神経が乱れがちになるのは、とにかく昼間にどんどん身体を動かして調整しました。

 地図も自分で描きました。

私は、画像で記憶するタイプなので、地図を色分けしながら色々と書き込んで覚えて行きました。

ワインスクールのテキストも2冊、問題集も一冊買い求め、学習を続けました。

 2度目の難関は、イタリアのDOCGの暗記でした。

 実は、ブルゴーニュやロワールなど、自分が好きなワイン産地は得意なのですが

ワインもあまり飲まない、イタリア。

こんなところで、ワインの好き嫌いがハンディになるなんて・・・。

 これまた、本当に受験の直前まで手を尽くしましたがボルドー61シャトーと並んで苦労しました。

 過去問や、練習問題をとにかく沢山こなして、どんな形で試験に出るのか、というのをつかめると

やみくもに暗記をしようとするよりは良かったのだと思います。

 最終的に、赤ワインを赤色、白ワインを青色で書き分けてDOCGの表を作ったものが私には有効でした。

(赤、白、ロゼと3色あるものは、ロゼをオレンジのペンで、赤・白・ロゼ・と書き添えて画像として記憶しました。)

 さて、受験も近付いてきますが、8月はじめの時点でメルマガのカリキュラムも、産能大学の通信講座もこなせていません。

「今のままでは落ちる」と判断して

ワインスクールの直前対策講座2日間を受講する事にしました。

 ここで、良い講師のソムリエ氏と出会えた事が大変助けになりました。

 高額な受講料だったと思いますが

他の受講生の方のレベルも知る事が出来て

その後の色々な方とのつながりが出来た事

何より、今年合格出来たことを思えば、惜しくなかったと思います。

 受験直前の頃は、仕事が終わるとお店のソファーに泊まり込んで

勉強しては眠る。起きては勉強する。の繰り返し。

 もちろん、仕事も。一日何時間勉強したか?といわれると時間が許す限り勉強したと思います。

 私も、30代後半の記憶力の落ちた状態で、「無理なんじゃないだろうか?」と何度も諦めそうになりました。

でも、これから受験しようとする方。悩む時間があったら勉強する方が良いと思います。

苦しくても、合格した時の喜びをイメージして、諦めよう・・・と悩まない方が勉強が楽になります。

私も、諦めようか。とは思っても、落ちた時の事は決してイメージしませんでした。

落ちる方向に自分を持っていきたくなかったのです。

 さて、過去問もこなし、要点は大体頭に入った状態で受験前日。

翌日、受験当日に起きるべき時間に起きて、朝から今まで記憶してきた事を

頭の中の、取り出しやすいところに並べる作業をしました。

 ゆっくりと、暗記するべき事を見直して、記憶のモレを無くしてゆくのです。

 受験当日は、まず、会場の中をゆっくりと見渡してみました。

 みんな緊張しています、皆が緊張しているのが分かると

自分の緊張が、楽になるものです。

 当日行われる講習からの出題はありますので、しっかり聞き逃さないで集中出来る方が良いと思います。

 さて、一次試験の合格の通知。

 ここで、しっかりお祝いをしましょう(笑)

 まだ早いなどと言わずに、自分にご褒美をあげておくことが大事です。

そうすると、2次までの苦労も、合格したらご褒美〜♪と頑張れます。

 2次までの時間は、とにかくまずティスティング。

 ここに至るまでに、ワインの試飲会など、ワインを飲む機会があればどんどん参加して

経験を積んでおくことは大事です。

ワインのテイスティングについて書かれている本などを読んで、

独自の言葉がどのような意味を持つのかを理解しておく事も必要になると思います。

例えば、なめし皮という表現は、なぜ、ワインにそんな香りをかぎわけるのか?

それは、どんな香りを感じたときに表現する言葉なのか?というように

ある種の言語を学習するようにひとつづつの表現を記憶してゆく感覚です。

 きちんとしたソムリエさんの、分析的テイスティングコメントのついたワインを飲んで

ワインの言葉を覚えて行くのが効果的だと思います。

 私は、産能大学の通信講座にテイスティングのカリキュラムも組み込まれていましたので

一日、6種ほどをまとめてテイスティングした日もありました。

(本当は、もっと期間を設けてするべきだったと思います。)

 ワインを飲みながら、様々な資料とにらめっこしつつ

「自分は、こう感じるけれど、その表現で良いの?」と自分の感じる事と表現を一致させてゆく作業です。

 特に、課題の中に、ドイツのラインガウのカビネットと、MーSーRのリースリングという2種がありましたが

このように繊細なテイスティングは、やはり同時に2本を飲み比べながら行う方が効果的なのでは?

と思いました。同時に飲み比べるからはっきりと違いが分かる。という経験をしました。

 それと同時に、口頭試問の為の学習と、ソムリエ呼称受験には実技としてデキャンタージュがありましたから。

その対策も。

 これまた、ワインスクールの2次試験対策講座を受講しました。

 独学の方も、可能であれば、受講できれば、こうした講座は大変助けになるし、実務にも活かせると思います。

 実技は、どんなに緊張しても身体が覚えていてこなせる。

というレベルになるように何度も繰り返し練習しました。

 口頭試問対策は、一次の勉強を更に強化する感じで進めました。

 さて、2次試験当日。

 口頭試問、テイスティング、と進みます。

 ここで、ラッキーだったのは、テイスティングの試験の問題で

一次試験の後の、ソムリエ協会からの試飲ワインで出た長野のメルローが出題された事でした。

 試験のテイスティングをしながら、「あの時のワインだと思うんだけどな〜」と思いつついまひとつ決断出来ません。

その時に、メルマガのJ氏が、「日本のワインの出題も・・」と書かれていらしたのを思い出しました。

 その言葉を思い出して、「そう、これは、やはりあの時の長野のメルローだ。」と

終了2分前に、マークシートを書き直したのです。

 J様のあの一言が無ければ・・・

 ソムリエ試験の受験には情報もとても大事。とメルマガに書かれていました。

 受験してみて、実感しております。

 例えば、イタリアの話題のワインはやはり出題にからんできましたし、

この日本のワインがテイスティングに出題された事も・・・

メルマガの情報、ソムリエ協会の会報。一般のワイン雑誌などの情報はチェックしておく方が

ソムリエとしての実務にも役に立ちますし試験にも役に立ちました。

 そうして、事件(?)は起こりました。

 実技で、ワインの抜栓をした瞬間、「ブシュッ」とワインが吹いたのです。

失敗してもフォローが大事というメルマガの言葉が思い浮かびました。

 「ワインが吹いてしまい申し訳ございません」と丁寧にお詫びをして実技を続けましたが

 心中、

「この後受験する人たちは、私が吹いたワインの染みを見て、どう思うんだろう・・・

わ、こんな風に失敗したらどうしよう・・なんてただでさえ緊張しているのに・・・

自分が落ちるのは、仕方ないにしても、他の頑張った人たちにまで迷惑をかけるような事をしてしまった・・

そうして、これまでの努力も来年まで持ち越しだな・・・。」

 そんな事を思いましたが、とにかく目の前にお客様がワインを楽しみたいと思って貴重なワインをデキャンタージュしているのですから

身体が覚えている実務をきちんとこなす事に専念するしかありません。

 試験の会場を出たところで、「また来年頑張ろう。」と思いつつ帰りました。

 後で、ソムリエ協会の方にお聞きしたお話ですが、

私が汚したクロスは素早く取り替えて頂き、他の受験生の方にご迷惑をかけずに済んだようでした。

 ソムリエという言葉の響きに、威張っているというニュアンスを感じる方が少なからずいらっしゃると思いますが

この受験を通して知ったのは、私がであったソムリエ氏達は、素晴らしいサービスをされていらっしゃる方達で

そのサービスの根底には、やはりホスピタリティが貫かれているのだ。という事でした。

 メルマガの掲示板で、色々な立場、職業の受験生の方との交流が持てた事も

大変に助けになりました。

受験という過程を通して、ソムリエとして、一人の人間としての自分を鍛えあげてゆくような感覚でした。

 今、ソムリエの金色の葡萄のバッジを胸につけて仕事を致しておりますが

やはり、お客様の感じが変わりました。

そのバッジがプロとしての証。

これまで、色々と説明をして語りかけなければ納得して頂けなかった事も

一目で、納得して頂けるケースが増えました。

自信が付いた。という事もあるのかもしれません。

 まだまだ、やっと基本の学習が終わった所ですから

これから、ワインを通した食文化を楽しんで頂けるレベルにまで自分を磨いて行きたいと思っています。

 そうして、ここまで応援してくれて、くじけそうで気持ちが荒れた時にも

支えてくれたオーナーに心から感謝したいと思います。

 ソムリエ合格のお祝いは、ワインスクールでお世話になったソムリエ氏のいらっしゃるレストランでの食事。

その方のサービスを楽しむ事は、ご褒美でもあり、サービスを受ける身になって、学ぶ事も沢山あります。

 多分、このメルマガと出合っていなければ、今バッジをつけて仕事出来ていなかった・・と思います。

私の学習の核はこのメルマガでした。

 私の個人的な体験を、感想を交えつつ書かせて頂きましたが

これから受験なさる方にとって、何かお役に立てる事がございましたら幸せ。と思います。

 

頑張って下さい!

 

 

 

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